◆桜花賞追い切り(8日) 戴冠に一点の曇りもなし−。牝馬クラシック戦線を圧倒的強さで勝ち進むブエナビスタは8日、栗東トレセンのDウッドチップコースで最終追い切りを行った。ラスト1ハロンは11秒6の瞬発力で、先行したパートナー2頭を一気に突き放す強烈な伸び脚を披露。磐石の態勢を敷いた。阪神JF2着馬で、栗東で調整を続ける関東馬ダノンベルベールは、坂路で後半400メートルを12秒0、11秒9。打倒ブエナビスタの急先ぽうとして名乗りをあげた。出走馬18頭と枠順は9日、決まる。
力みのないスピード感あふれる動きだった。Dウッドチップコースの直線入り口。ブエナビスタが馬なりのまま、5馬身先行した2頭を交わしていく。わずか数完歩で差を広げると、右ステッキでさらに加速。軽やかな脚さばきで、最後は楽々と2馬身先着してみせた。
非凡な才能はラストの瞬発力を見ても明らかだ。6ハロンから81秒5を刻み、ラスト1ハロンは11秒6の伸び脚を披露した。「いつもと変わらん。同じパターンでやってるだけ。ただ、この前よりもだいぶ落ち着きが出てきた」。松田博調教師の言葉には自信が漂っている。
悠然と構えていられるのは、兄たちで悩まされた不安材料がないからだ。兄アドマイヤジャパン(菊花賞2着)、アドマイヤオーラ(ダービー3着)は優れた才能を持ちながら、脚元の不安に泣かされた。「こっちは兄よりやりやすい」(松田博師)サラブレッドの宿命とも言える脚元の病とはいまのところ無縁だ。
牡馬相手のデビュー戦こそ3着に敗れたが、牝馬同士では底を見せていない。「内枠に入って、包まれるのが一番心配。ただ、そうなれば後から行って外を回っていけばいいんです。それでも間に合うから」。指揮官の自信はかなりのものだ。
1番人気馬で臨むのは、93年に2冠を制したベガ以来になる。「こっちの方がしまいがしっかりしているので安心して見ていられる」。デビュー以来4戦すべて最速の上がりをマークした瞬発力が、ベガを上回る手応えの根拠となっている。
いまのところライバルは見当たらない。松田博師は「1番人気になるのは、能力的に仕方がない」と強気の姿勢を崩さない。ブエナビスタにとって、1冠目は通過点に過ぎないのかも知れない。
-スポーツ報知-