「第50回宝塚記念」の追い切りが24日、美浦、栗東トレセンで行われた。凱旋門賞挑戦へ、安田記念2着から巻き返しを期すディープスカイは、降雨で馬場が悪化した坂路で堂々の1番時計をマーク。手綱を取る四位も自信のコメントで締めくくり、万全の態勢をアピールした。同レースは、25日に枠順が確定する。
さすがはダービー馬。ディープスカイが雨のカーテンを切り裂き、坂路を爆走した。札幌から駆けつけた四位にムチなどいらない。残り1F、ゴーサインを送ると瞬時に反応。開門直後の荒れていない馬場とはいえ、あっさり、当然のように一番時計(4F51秒9)を叩き出した。前半から飛ばせば、どれほどの猛時計が出たことか。2週連続で騎乗した四位も思わず笑顔だ。
「思っていた以上に、いい時計が出ていたんですね。安田記念(2着)の後、初めて乗った先週よりもいい感じ。きょうに関しては何も言うことがない。不安?あっては困るからね」
真っ暗な雨空とは対照的に、パートナーには一点の曇りもない。1歳上の先輩ダービー馬ウオッカに屈した安田記念の心の整理もできている。マイルの激流にも機敏に対応。終始ウオッカをマークし、直線で一度は完全に抜け出した。
「久々のマイルで置かれるのでは?と心配したが、ウオッカを見る形で競馬ができたし、いい感じで抜け出せた。もう1頭、強いのがいたってことで…」
そのウオッカが回避。昆師にとっても譲れないグランプリだ。青写真通りの春3戦。この宝塚記念を大目標にローテーションを練ってきた。当初、安田&宝塚記念の連覇が条件で挑戦予定だった凱旋門賞(10月4日、仏ロンシャン競馬場、芝2400メートル)の夢も、ここで負けたら消滅してしまう。
「ここをピークに仕上げたし、何とか結果を出してほしい。名前の通り、スカッと行ってほしい。勝つ条件だった安田記念は負けてしまったけど、今回の内容次第でオーナー(深見敏男氏)に凱旋門賞の相談をしようと思っています」
ファン投票2位。出走馬では最多10万6103票の熱い支持に応えるためにも、22日に急逝した父アグネスタキオンのためにも「勝利」の2文字が欲しい。
四位は誓った。「今回は負けられない立場。勝たないといけないし、負けたらファンの方も関係者も許してくれないでしょう。10万票も投票してくれた方のためにも素晴らしいレースをしたい」。牡馬最強の意地。世界への野望。大いなる夢を乗せたディープスカイが梅雨空を一刀両断する。(小田 哲也)
-スポーツニッポン-