「高松宮記念・G1」(29日、中京)
秋春スプリントG1制覇に向けて、タフな5歳牝馬が躍動する。度重なるアクシデントを乗り越えて、スリープレスナイトがG1初制覇を決めた昨年のスプリンターズS以来、175日ぶりにターフに登場。中京は重賞初Vを決めたコース、千二百メートルの芝では3戦3勝。無敵の快速牝馬が尾張の大舞台も制圧する。
見事に盛り上がった、肩回りの筋肉。流線形を描く馬体に、空白期間の影響はない。昨秋のスプリンターズSを圧勝して以来、175日ぶり。スリープレスナイトが華やかなステージに帰ってくる。「力は抜けている。ただ、ブランクと病気をした。今の状態に全く問題はないけど、不安点はそこかな」。地力を信頼しながら、慎重な態度も崩さない橋口師。鮮やかな“ロングシュート”は決まるのか-。季節をまたいでのG1連覇に向け、陣営は快速牝馬の底力に賭けている。
香港遠征を目標に調整を重ねていた昨年10月、放馬のアクシデントで左後肢を外傷。照準を春のドバイ遠征に切り替えたが、今度は馬体に湿疹の出る多型性紅斑(じんましんの一種)を発症し、こちらも断念。出走プランのあったシルクロードS、オーシャンSもパスして、本番に直行という形になった。
ローテーションは二転、三転したが、スプリント女王の動きに陰りはない。上村に導かれた19日の栗東坂路の1週前追い切りでは、4F50秒3-36秒9-13秒1の高速フィニッシュに成功。破格の一番時計を記録した。「状態に問題がないということを伝えたかったんだ。これだけやれるのは体調面に不安がないから。馬体の張りもいいし、肌もツルツルしているよ」と指揮官は胸を張った。
上村も闘志を燃やす。1月18日の中京競馬で落馬して、左足の腓骨を骨折。スリープレスへの騎乗を励みにしながら、連日のリハビリを行い、ハリ治療、高酸素カプセルでケア。筋力トレーニングで奮闘して、2月28日の小倉競馬で復帰を決めた。「僕は信用して信頼して乗るだけです」。強力タッグの絆(きずな)に揺るぎはない。
-デイリースポーツ-