JRAが購入、育成した2歳馬のトレーニングセール「2009 JRAブリーズアップセール」が27日、中山競馬場で行われた。昨年の同セールから、朝日杯FSを制したセイウンワンダーが出たことを受け、史上初の売却率100%を達成。総売却価格も、昨年を約2億円上回った。ロジユニヴァースの久米田正明オーナーは、この日3番目の高価格となる2900万円(税抜き)で牝馬を購入。終始、活気に満ちたセリが繰り広げられた。
天性の勘と鋭い眼力を光らせた。馬主になって最初の年に、いきなりロジユニヴァース(5戦4勝、重賞3勝)を持った久米田正明氏が目を付けたのは、「スイートフェローズの07」。激しい競り合いに負けず、気合のひと声で落札した。2900万円は、この日の最高価格(3100万円)にはわずかに及ばなかったが、牝馬としては最も高額だ。
ダービー馬ウオッカを出したタニノギムレット産駒で、おじには重賞2勝のツルマルツヨシがいる。「機敏で調教のタイムもいい。すぐに活躍できそうだね」と顔をほころばせた。
24日に、すべての上場馬を入念にチェックしたという久米田氏。サニングデール産駒の「ウメノディオンの07」(牝)も1500万円で落札した。
2頭とも、美浦・大竹厩舎に入厩予定だ。「牡馬では、ある程度のところまで行ったので、今度は牝馬で狙いたい」来春は牝馬クラシックで主役を張るつもりだ。
◆最高価格3100万円“サトノ”購入
最高価格の3100万円で落札されたのは、タイキシャトル産駒の「バヴィーラの07」(牡)。母の父はシアトルスルーで、近親に凱旋門賞馬のスワーヴダンサーがいる。購入者は“サトノ”の里見治氏だった。また、セイウンワンダーの全妹(父グラスワンダー)も上場され、島川隆哉氏が2500万円で落札。ちなみに、兄の価格は、昨年では最高の2600万円だった。
◆76頭初の完売
この日来場した馬主は164人(07、08年とも114人)。会場は熱気に包まれた。総売却価格は、税抜きで7億3575万円を記録。昨年(5億2196万円)、一昨年(6億2260万円)を大きく上回った。上場馬76頭は完売で、売却率100%は初の快挙だ(昨年は71頭中59頭売却で83・1%)。JRAの水野豊香・馬事部生産育成対策担当理事は「声をかけやすい価格に設定したこと、JRAが育成研究業務の一環として実施してきた情報開示により、高い透明性を持つセールになったことによるものだろう」と分析した。
-スポーツ報知-