◆天皇賞・春追い切り(30日) アルナスラインは2つのテーマを持って、坂路での追い切りに臨んだ。
まずは前半。サワノパンサー(3歳未勝利)とジャミール(3歳500万)が併せる直後につけ、折り合いを確認するように息を潜める。そして後半。ラスト2ハロンを切ったあたりから視界が開けると、抜け出したサワノと併せ馬の形に。早々と右ステッキが飛んで、鞍上の手綱の動きも激しくなる。迫力満点のフットワークで、加速を続けながら追走。最後はグイッと半馬身先着してフィニッシュ。一連の動きの中に、“静”と“動”を織り交ぜた最終デモで、大一番への態勢を整えた。
時計は52秒8。この馬にしては上々だ。「イメージ通りだね。折り合って、抜け出す瞬間が速かった。反応もいいね」手綱を執った田代助手が確かな手応えを口にした。
前走の日経賞でようやくつかんだ重賞初勝利。復活を大きく後押ししたのは、この日も両目の横に装着していたチークピーシーズだ。「この距離でかかったらどうしようもないので実戦では外すけど、前走はレースでつけただけなのに強かったね」再び闘争心を宿し、きっかけをつかんだ実力馬。松元調教師の強い信頼が揺らぐことは全くない。
一昨年の菊花賞では、アサクサキングスに頭差2着。長距離実績も十分だ。「チャンスはあると思っている。持続力を生かしたいね」とトレーナー。淀のターフで遅咲きの大輪を咲かせる瞬間がはっきりと見えてきた。
-スポーツ報知-