秋の活躍が期待される3歳馬が名を連ねるラジオNIKKEI賞(7月5日、福島)の注目は、父に菊花賞馬マンハッタンカフェを持つイコピコだ。ダービー出走の夢はかなわなかったが、競馬の祭典前日の白百合Sで3勝目をゲット。重賞初挑戦でのタイトル奪取を目指す。
騎手時代の自分を見守ってくれたファンに“恩返し”をしたい。西園調教師は、満を持してイコピコを、みちのくの舞台に送り込む。
この春はダービー出走を狙ってプリンシパルSに出走したが、痛恨の出遅れ。最後方から、4着まで追い上げるのが精いっぱいだった。「(ダービーに)出したかった。本当に悔しかった」とトレーナー。メンバー最速の上がり(34秒0)を記録しただけに、五分にゲートを出ていれば…の思いが強かった。
そのうっぷんを晴らしたのが、前走の白百合S(中京・芝1800メートル)だった。3番手につけ、ゴール前でもうひと伸び。3勝目をゲットした。「負かした馬が、次のレースで古馬に勝ったヤマニンウイスカー(HTB賞)だから。価値のあるレースだったと思う。その後も文句なしの状態」
セールスポイントは、長く使うことのできる粘り強い末脚だ。「それでいて、切れもある。乗り手の指示に素直に従うので、鞍上の思い通りの競馬ができるよ」。実際、コンビを組む田中勝は、3走前の阪神で見事な差し切り勝ちを演出している。
西園師は騎手時代、秋の福島競馬に滞在していた。「厳しいヤジを飛ばされた時もあったけど、ファンが温かかった。結構、勝たしてもらっている競馬場」としみじみ話した。
これまで、阪神JFをタムロチェリー(01年)で優勝するなど、4場で重賞勝ちを収めているが、“故郷”ではまだ勝ち星がない。「秋は神戸新聞杯から菊花賞と決めている。そこに向けていい競馬をしてほしい」。ここで結果を残せば、秋の“収穫”に弾みがつく。
-スポーツ報知-