函館スプリントSの木曜追いで、古豪スピニングノアールが軽快な走りを披露した。力の衰えは一切なく、切れ味鋭い末脚を武器に、ここ2戦も小差3着に好走。8歳にして初の重賞タイトルをゲットできるか注目だ。
老いてますます盛ん。8歳の古豪スピニングノアールが、年齢を感じさせない軽快な脚さばきで健在をアピールした。
札幌ダートコースでの単走。1F17秒台のゆったりとしたペースでスタートしたが、難なく折り合ってピッチを上げていく。3〜4角でもスムーズに加速。直線に入ると、回転の速いフットワークで一直線に伸びた。時計は4Fから53秒3〜39秒0〜12秒4と平凡も、タイム以上に軽快かつ迫力を感じさせる走り。「加速しても折り合っていたし、しまいもしっかり走っていた。全体の動きもいい」。騎乗した影山助手の表情も自然と緩んだ。
06年12月の尾張S以来、丸2年半も白星から遠ざかっているが、その間にも08年CBC賞2着(優勝馬はG1馬スリープレスナイト)など、惜敗が何度もあり、決して力が衰えたわけではない。ここ2戦は連続3着と、再び上昇ムードだ。函館スプリントSは昨年も挑戦。6着に敗れたが、出負けして最後方からの競馬。「直線に入ってからもスペースがなくて、まともに追えなかった」と影山助手が振り返る状況で、勝ち馬から0秒7差。小回りのコース形態を考えれば力負けでないことは明らかだ。
通算60戦のキャリアを誇るが、意外にも札幌コースは初参戦。だが、これまでにJRA全10場中8場に出走し、うち6場で3着以内をマークしている。「全国津々浦々、どこに行ってもどんな条件でも結果を出してきた。持ち時計(芝1200メートル=1分7秒2)もあるので、速いペースにも対応できる」。初コースなど苦にするタイプではない。むしろ条件が厳しいほど、培ってきた経験が生きる。
「馬体も仕上がって毛ヅヤもいい。チャンスは残り少ないので何とかタイトルを獲らせたい」。影山助手の口調にも力がこもる。短距離重賞の常連だが、勝利の美酒を味わったことはない。18回目の挑戦で悲願のタイトル獲得なるか。
-スポーツニッポン-