

「有馬記念・G1」(28日、中山)
27日の午後4時すぎ。女傑の到着に色めき立つ報道陣。カメラマンのシャッター音が鳴り響いても、主役は悠然と構えていた。引き運動を15分間行い、馬房へ収まったダイワスカーレット。その落ち着きぶりは誰が見てもうなるほどだ。
「どっしりしている。こういうのは珍しいくらい」と斎藤厩務員も舌を巻く。久々だった天皇賞・秋(2着)は攻め抜いた調整。その結果、到着してからテンションが非常に高かったという。対して叩き2走目の今回は、中間から精神面の安定を重要視した内容。陣営の策は確かな成果となって表れた。
1年前の有馬記念は2着。当時とは心身とも完成度が違う。「いつもは放牧先から帰ってくると、体温が上がっていた。でも今回は1回も上がっていない。追い切った後は1、2日カイバを残す馬なのにそれもない」。体質強化に自信を見せる斎藤厩務員は「今までやってきてこんなに安心したことはない」と生涯最高の出来を約束した。
圧倒的存在感を誇る馬体、そして何事にも動じることのない精神力はもはや牝馬の枠を超えたレベル。今のダイワスカーレットに対し、37年ぶりの牝馬Vという言葉を使うことは失礼なのかもしれない。
-デイリースポーツ-






