
水曜に札幌ダートコースで軽快な動きを見せた2冠牝馬ブエナビスタは、木曜は芝コースで軽めの調整。堂々とした姿で順調な仕上がりをアピールした。今回は古馬の一線級が相手となるが、近年は世界的にみても3歳牝馬が大活躍の傾向。ブエナも年上のライバルを打ち負かし、凱旋門賞(10月4日、仏GI、ロンシャン、芝2400メートル)へ弾みをつける。
極上の切れ味を披露した最終追い切りから一夜明け、ブエナビスタは普段と変わらぬ調整を消化した。先週と同様に、追い切り翌日は芝コースに入れて、約1周の軽いキャンター調整。テンションは上がらず内に闘志を秘め、レースの日を静かに待ち望んでいるような堂々とした雰囲気だ。
「芝の感触をつかんだほうがいいと思い、先週と同じパターンで芝に入れた。レースはまた違うやろうけどな」と松田博調教師はできる限りブエナにプラスになるよう調整方法を考えている。
札幌記念は初コース、269メートルの短い直線などの課題があるが、その中でも注目は古馬の牡馬との初対決だ。昨年10月の新馬戦3着で牡馬と対戦(1着アンライバルド、2着リーチザクラウン)したが、それ以降の5連勝はすべて牝馬限定のレース。ここで歴戦の雄を相手にどんな競馬をするのかが焦点になる。それでも、近年は世界的に見ても3歳牝馬の強さが非常に目立っており、52キロと斤量も有利なブエナがここで強さを見せつける可能性は非常に高い。
07年にウオッカが64年ぶりに牝馬としてダービーを制覇。暮れの有馬記念ではダイワスカーレットが2着に健闘した。同じ年に米国ではラッグストゥリッチーズ(カジノドライヴの半姉)が牝馬として102年ぶりにクラシック第3弾、ベルモントSを制した。08年の凱旋門賞はザルカヴァが圧倒的な強さを見せ、3歳牝馬として26年ぶりにV。そして今年は米国のニューヒロイン、レイチェルアレクサンドラが牝馬として85年ぶりにクラシック第2弾、プリークネスSを快勝している。
こうした3歳牝馬の強さに続くべく、ブエナが凱旋門賞に堂々と挑戦するため、札幌記念は内容と結果が重視される。松田博師も「最近は凱旋門賞に挑戦することだけでは注目されない。結果が求められるからな。高いお金を出してもらってフランスに行くことになるから、生半可な気持ちでは行ってられんよ」と意欲満々だ。世界最高峰の舞台で今年も3歳牝馬の強さを証明するため、まずは目の前の札幌記念に全力投球。勝利をキッチリと手にして、凱旋門賞Vへの足固めをする。(高尾幸司)
-デイリースポーツ-












