
フェブラリーS(22日、東京・ダート1600メートル)で、史上初のG1・8勝目を目指すカネヒキリが18日、栗東の坂路で追い切った。併せ馬で半馬身遅れたものの、気合が乗って雰囲気は上々。屈けん炎を克服して、ジャパンCダート、東京大賞典、川崎記念とG1・3連勝中の“砂王”の前途に、一点の曇りもない。美浦では、4歳馬カジノドライヴが順調な仕上がりをアピール。一方、昨年の覇者ヴァーミリアンは、体のこなしに不安があったため、最終追いを19日に延期した。
栗毛のボディーに浮き上がった血管が、激しく脈を打つ。平凡なアクションとは対照的に、内面は熱くなっていた。「怒っているが、暴れない。あれだけ血管が浮き上がるのは、相当に気合が入っているということ」と角居調教師。王者カネヒキリは、闘争心にあふれていた。
坂路で、2馬身前にカラメルマキアート(4歳500万)を置いてスタート。力強くチップをかき込み、ゴール前で馬体を合わせにいった。ラスト1ハロン13秒3。半馬身ほど遅れる形になったが、気持ちが充実している状況で、過度なストレスを与える必要はなかった。
1月28日に川崎記念を勝ったあとは、体調の維持に努めた。最終追いの全体時計は4ハロン52秒9。「体は出来ているので、53秒ぐらいという指示だったけれど、状態は良さそう。競走馬の宿命とも言える病を発症したが、しっかり立ち直ってくれた」とトレーナーは今の姿に満足している。
昨年11月、右前脚の屈けん炎による2年4か月の休養から復帰して、間隔をあけることなく4戦を消化。ハードに見える日程だが、角居調教師には狙いがあった。「一度緩めると、筋肉をしっかり立て直すために、追い切りを何本かやることになる。それより、(今の状態を)維持していく方が、脚元に負担がかからない」
もちろん、脚元のケアには細心の注意を払っている。担当の西内装蹄師は「重心が下がって、かつ(馬場の)引っかかりが抜群にいい」米国製の蹄鉄シルバークイーンをジャパンCダートの時から使用している。重心が低くなれば、脚元への負担が軽くなる。故障持ちの馬には、打ってつけの“ シューズ”だ。
長期ブランクを克服して、目下G1・3連勝。今回は、史上初のG1・8勝という偉業がかかる。「大きなアクシデントを乗り越え、3つ続けて大きいレースを勝ってくれた。もうひとつ、新記録に向けて頑張ってもらいたい」難病を克服してチャンピオンに返り咲いたカネヒキリに、不可能なミッションはないのかもしれない。
-スポーツ報知-







