
「桜花賞・G1」(12日、阪神)
クラシック第1弾となる桜花賞。不確定要素が多い3歳牝馬の争いだが、昨年の阪神JF覇者・ブエナビスタには逆らえない。唯一の黒星を喫した新馬戦は1着アンライバルド、2着リーチザクラウンという世代を代表する牡馬が相手。その後は驚がくの末脚で3連勝。前哨戦のチューリップ賞ではさらに進化を遂げた姿を披露した。ここで“新”女帝伝説が仁川で幕を開ける。
◇ ◇
桜色に染まる乙女の戦い。圧倒的なパフォーマンスで同世代のライバルをけ散らしてきたブエナビスタには、もはやつけいるスキすら見当たらない。牝馬の枠を越えた次世代のエースが、仁川のステージで華麗に舞う。
あきれるほどの強さだった。始動戦となったチューリップ賞は、ラスト1Fを迎えても逃げるサクラミモザとの差はまだ3馬身。“やった、と思ったら、足音が聞こえてきた”と、サクラ騎乗の藤岡佑が振り返ったように一瞬のうちに前を捕らえると、ゴールでは1馬身の差をつけていた。「1頭になるとフワフワするが、前に目標があれば問題はない。前走も長く脚を使ってくれた」。そう語るのは担当の山口厩務員。多くの名馬を担当し、桜花賞には93年ベガ(1着)や06年アドマイヤキッス(2着)を送り込んだ腕利きだ。同馬にも同様の期待を寄せる。「運動中など歩いている姿はコトコトしているが、走らせて初めて良く見せる」。サラブレッドの本能こそがこの馬の真骨頂なのだ。
強さの裏には確かな成長の跡がうかがえる。1週前追い切りは、栗東DWで6F82秒6-39秒7-11秒7と鋭伸。「抜けたら遊びながら走っていた」と笑うが、先週の山吹賞を快勝した僚馬キタサンアミーゴ(3歳オープン)を子ども扱いした動きは圧巻だった。「体高が伸びて、大きく見える。前走でも6キロくらいは増えていると思っていたくらい。無駄な肉がつかないタイプだからあんなものかな。2歳のころはカイ食いが細くなることもあったが、今はそんな面は全くない。レース後の回復も早くなっている」と目を細める。
「無事に走って結果がでれば最高だね」。仕上げ人とともに、まずは最初の1冠に挑む。
-デイリースポーツ-












