
◆第14回NHKマイルC・G1(10日、東京競馬場、芝1600メートル) トライアルのニュージーランドTを快勝したサンカルロが、勢いに乗って本番に臨む。右側にもたれる癖が出世を阻んでいた時期もあったが、舌を縛るようになって、走りが変わってきた。コンビを組む吉田豊にとっては、G1・10勝目がかかるレース。「条件はベスト」と手応えを持って臨む。一方、桜花賞(4着)から参戦するのがワンカラット。牝馬らしい切れ味を武器に、牡馬に挑む。
大舞台へ向けて、しっかりと流れをつかんだ。サンカルロは、前哨戦のニュージーランドTを快勝。主役の一頭として、3歳マイル王決定戦を迎える。
「ほかの馬が、落馬した馬の不利を受ける中、内をスイスイと進めましたけど、強い競馬でしたね。ペースが上がったし、うまく折り合いもつきました」吉田豊は能力の高さを再認識した様子だ。
豪快に差し切った昨年10月の新馬戦のあとは、不完全燃焼のレースが続いた。東京スポーツ杯2歳Sこそ、強敵相手に3着に食い下がったが、その後の中山戦は、ひいらぎ賞、ジュニアCとも1番人気に推されながら、内にもたれる面を見せて3着に敗れた。
舌を左側に出して走るので、右にもたれてしまう。そこで陣営が施した策は、舌を縛ることだった。いきなり、クロッカスSで1着を取ると、スプリングSでは、引っかかり通しながら、ラスト3ハロン34秒7の脚でアンライバルドから0秒2差の4着に押し上げた。課題が解消されれば、ニュージーランドTの快走も当然だった。
大一番を前にして、自然体でいる鞍上も心強い。かつて、メジロドーベルとのコンビでG1を5勝した“東のユタカ”も、16年目を迎え34歳に。昨秋のマイルCSでは、ブルーメンブラットとのコンビで4年ぶりのG1制覇を果たすなど、円熟期に入ってきた。
「ドーベルの時は、緊張感が図抜けていました。だから、ああいう緊張感は、今ではそんなにはないですね。それに、走るのは馬ですから。馬が強ければ勝つんですよ」とサラリ。区切りとなるG110勝目が目前に迫っていても、そのスタンスは変わらない。
「条件はベスト。それに、力をつけていますからね」とパートナーに信頼を寄せる一方で、吉田は5日、大好きな競輪のスーパースターが集う「SSシリーズ・風光る09」の決勝をテレビ観戦。気持ちをリフレッシュした。人馬ともに態勢は万全。頂点が、はっきり見えてきた。
-スポーツ報知-










