
春の最強古馬決定戦「第139回天皇賞・春」の最終追い切りが29日、美浦、栗東トレセンで行われた。昨秋のジャパンC優勝馬スクリーンヒーローは、軽やかな走りでパートナーに楽々併入。“東の横綱”として譲れない大一番だ。
泰然自若。すっかり貫禄をつけた今のスクリーンヒーローに、何も奇をてらったアクションは必要ない。
いつも通り調教パートナー水出(レースは横山典)を背に、開門直後のポリトラックへ。スムーズに折り合い、僚馬ポンテディリアルト(4歳500万下)を3馬身追った。4コーナーで外から迫り、手綱を抑えたまま、鼻面を並べてフィニッシュ。一見地味に映る6F67秒6〜1F12秒9も青写真通り。毎日のように坂路で15〜15(1F15秒台)で乗り込んでいるからこその柔らか仕上げだ。
水出も確かな上積みを感じている。「明らかに良くなっていますね。(追っていたら)すぐに抜け出しそうな感じ。硬さもなくて軽い感じで走っていた。気合も乗ってます」
09年の始動戦・阪神大賞典(4着)は休み明け、59キロに加え、重馬場のトリプルパンチ。「こんな天気じゃ仕方ない。雨と馬場に尽きる。レース自体はうまく走っていた。次は良くなると思う」。レース直後、全幅の信頼を寄せた横山典の言葉がすべてを語っている。基準外の敗戦だ。
休養明けの昨夏、支笏湖特別(1着)から計7戦。鹿戸雄厩舎に転厩後は首尾一貫、2400〜3000メートルの長距離戦を使われてきた。すべては春の天皇賞のため。意のままに動く従順な性格と、父グラスワンダーから受けた強じんな持続力が生きる最高の舞台だ。
「昨夏に始動した時、まさか年内(08年)にG1を獲れるとは思っていなかったけど…。この春にはきっと大きな舞台に出せると思っていた。G1馬だし、自信を持って挑戦したい。やれるだけのことはやってきたし、あとは運」。鹿戸雄師はストレートに2度目のG1奪取の意欲を口にした。
週末の京都は雨の心配はない。晩秋の秋晴れの下、ディープスカイ、ウオッカを一蹴したジャパンCの剛脚を武器に“古馬最強”を誇示する時がきた。
-スポーツニッポン-










