
天皇賞・春の最終追い切りが行われ、栗東では、阪神大賞典2着の上がり馬ヒカルカザブエが勢いをアピール。並み居るG1馬に挑戦状を叩きつけた。天皇賞の枠順は、30日に確定する。
G1初挑戦のヒカルカザブエには、キラリと光る才能と若さが同居する。粗削りながら、若アユのようにピチピチとした勢いの良さが最大の魅力だ。
最終追い切りは坂路で単走。「先週まで、しっかりやっているので調整程度」と岡田師が語るように、最後まで馬なりのまま4F55秒6〜1F13秒2と、おとなしめの時計に終始した。だが、走りの中身はさすが。他馬を圧倒する大きなフットワーク。時折、右に左にと動くあたりが若さの表れだが、これで走りに集中したら相当なものだろうと思わせる。
「予定通り、息を整える程度。何のアクシデントもなく順調にきた」と、岡田師はホッとした様子だ。デビュー3戦目から4連勝。日経新春杯こそインで窮屈になって7着に敗れたが、阪神大賞典ではアサクサキングスと叩き合って2着。一瞬、前に出るシーンもあり、菊花賞馬を慌てさせた。「4連勝というのはできそうでできないもの。前走もいい競馬で手応えをつかめた。さあ天皇賞という気持ちになりましたから」と指揮官は超一流馬とも互角に戦える感触を手にした。
この中間は、気持ちを整えることに気を使った。プールに入れ、リラックスに努めた。「おかげでテンションは上がっていない。馬が(調教の狙いを)理解してきてくれているのかな。持っているバネ、体の躍動感は大したもの。心身とも成長していると感じる」(同師)。底を見せない馬は学習能力も高いようだ。陣営の思い通りに上昇カーブを描いている。
コンビを組む秋山も好機ととらえている。「前走の惜敗は悔しかったが、今回もチャンスはある。結果を出せるタイプの馬だからね。緊張するし、プレッシャーもあるが、頑張りたい」。重賞16勝、中堅の名手だが、意外にもG1勝ちがない秋山。初めての美酒は今回かもしれない。
-スポーツニッポン-










