
「ヴィクトリアマイル・G1」(17日、東京)
今年で第4回と歴史の浅いヴィクトリアマイル。ここ2年は上がり馬が初G1勝ちを収めている。体調管理の難しい牝馬だけに、格同様、状態面が重要視される。ショウナンラノビアは条件戦を連勝し、駒を進めてきた。遅れてきた素質馬が、初の重賞挑戦で大仕事をやってのける。
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4歳秋に岡田厩舎へとやってきたショウナンラノビアは、1000万下で長く低迷を続けた。当時の印象を、内山助手は「能力はあるが、硬い走りをしていた」と振り返る。きっかけとなったのは、3走前の阪神千四百メートルダート。放牧の効果で以前の腰の甘さが解消され、抜群のダッシュ力で先手を奪った。「芝の部分の行きっぷりが良かったので、次走で芝を使うことにした」との選択が見事にはまる。スピードの違いで連勝し、6歳にしてまるで別馬のような快進撃でオープンまで駆け上がった。
好走の要因はもう一つある。調教前にストレッチを施すようになり、肩の出が良くなったこと。それにより動きに柔らかみを増したのだ。すべての歯車がかみ合ったことで、能力を引き出せるようになり、急激な変ぼうを遂げたのだ。
だが、勢いだけではない。府中の芝は初参戦となるが、力強いデータが味方する。SS系種牡馬が圧倒的な強さを誇る時代に、父であるフレンチデピュティ産駒(08年種牡馬ランキング8位)は、府中のマイルで高い勝率を挙げている。クロフネ、ピンクカメオがNHKマイルCを制するなど、大舞台での勝負強さも見逃せない。
また、ブルードメアサイアー(母の父)別ではヘクタープロテクター(08年BMSランキング11位)が、同条件で安定した成績を残している。両親から受け継いだ“府中魂”は侮れない。「前走でも無理してハナには立っていない。自分のペースでどこまで頑張れるか」。自慢のスピードでタイトル奪取を狙っている。
-デイリースポーツ-










