
今年の2歳戦で初めての重賞、函館2歳S・G3が9日、札幌・芝1200メートルを舞台に行われる。最も勝利に近い位置にいるのは、新馬戦、ラベンダー賞を制したキョウエイアシュラ。末脚の切れは、他馬を圧倒している。前走の直後、腹痛に見舞われたが、大事には至らず、仕上がりは上々。陣営はタイトル奪取に自信を見せている。
死の淵(ふち)からよみがえった“男”に、恐れるものなどない。唯一の2勝馬キョウエイアシュラが、重度の腹痛のアクシデントを乗り越え、世代最初の重賞ウイナーを目指す。
異変が生じたのは、ラベンダー賞で2勝目を挙げた数時間後だった。「馬房で前がきをして、発汗もひどかった。おかしいと思って、すぐに獣医師さんを呼んだんだ」と担当の田代助手。過去に多くの競走馬の命を奪っている、腸ねん転の症状が出ていたという。
すぐに、腹部のマッサージや鎮静剤を打つなどの治療を施したことで“最悪の事態”は回避。「すごい生命力の強さを見せてくれた。レース後に起こる時は、特に重症が多いから」と田代助手は振り返る。翌日こそ、カイバ食いは通常の半分ほどに減ったが、2日目には馬場に出て運動ができるまで回復。食欲も戻ったそうだ。
体調さえ本物なら、文句なしの主役だ。2戦とも、目の覚めるような末脚で差し切っての勝利。特に前走は、前残りの流れを余裕たっぷりに抜け出した。「こちらがびっくりするくらいの脚を使ってくれた。もともと完成度が高く、早い時期から走れるとは思っていたけど…」と田代助手が驚くほどの競馬センスを備えている。
中1週でのレースとなるが、函館で調整し、札幌へ直前入厩した過去2戦とは異なり、札幌に残っての調整。輸送なしで臨むプラスアルファが見込める。「気が良くて素直な馬。心配なことは何もないよ」と田代助手。無傷の3連勝は目の前だ。
[キョウエイアシュラめも]
◆血統 スウェプトオーヴァーボード産駒の芝での平均勝ち距離は、1346メートル。重賞は、アーバンストリートが、今年のシルクロードS(芝1200メートル)を勝っている。母サンシャワーキッスは、種牡馬として大活躍しているフジキセキの妹。
◆矢作厩舎 この夏の札幌では、グランプリエンゼルが函館スプリントSを勝利。函館2歳Sは、一昨年にジョイフルスマイルが11番人気で2着に入っている。
-スポーツ報知-












