
「皐月賞・G1」(19日、中山)
“栗東留学”で築き上げた人脈。そして、最高の相棒に出会った。後藤とリクエストソングが皐月賞制覇を狙っている。7着に敗れた前走を潔く“ミス”と認め、本番の巻き返しを誓う。一戦ごとに信頼関係を構築してきた人馬が、3歳牡馬の頂点へ突き進む。
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強い絆(きずな)で結ばれた人馬。後藤が皐月賞制覇に闘志を燃やす。
リクエストソングとの出会いは偶然だった。新馬戦で騎乗するはずだった武豊が、ひとつ前のレースで落馬。騎乗馬のなかった後藤が指名された。「変わった形で出会ったからね。先生からは“クラシックに行く馬”と頼まれた」。西高東低の溝を埋めるため、強い意志を持って3週間の“栗東留学”を決意。いろいろな厩舎を手伝っていた矢先のことだった。
留学期間を終えたあとも、その鞍は譲らなかった。「勝つために来てもらった」と石坂師が話した福寿草特別も、しっかりと勝利を手にした。
ただ、7着に敗れた前走のスプリングSだけは後藤も納得してない。行き脚をつけようと、前半から意識して出したが、結果的には超スローペース。折り合いを欠いた。「初めてこちらからサインを出した。裏目に出たけど、4角まで掛かり通しだったのによく7着にきた。この馬のレースをしていれば、間違いなくいいレースをしていた。今のところは結果の出ている方を選びたい」。脚をためる競馬こそが、Vにつながると確信した。
試行錯誤を繰り返し、それを乗り越えることで人も馬も強くなる。「本来は豊さんが乗るはずだった馬。だから、“豊さんならどう乗るだろう?”と思ったりする。プレッシャーもあるけど、その分、常に研究している」。負けて得たことが、本番では武器になると後藤は信じる。
「クビになってもおかしくないミス。クラシックはそれだけ偉大なものだと思う。だから陣営の思いに結果で応えたい」。心強い相棒と自分を信じるだけ。留学でつながった縁が、春の凱歌(がいか)を奏でる。
-デイリースポーツ-










