
人気薄でもひそかにチャンスをうかがっているのが、イグゼキュティヴ、モエレエキスパートの(地)2頭。イグゼキュティヴは、一昨年に15番人気で2着に入ったサンツェッペリンと同じ「斎藤誠師&松岡」のコンビだけに不気味だ。
2年前と雰囲気が似ている。厩舎の“先輩”が演出した大波乱。スプリングSこそ大敗したイグゼキュティヴだが、大駆けが期待できる状況になってきた。
07年の皐月賞。スプリングSを8着に敗れ、15番人気と評価を落としていたサンツェッペリンが、2番手追走から2着(優勝馬ヴィクトリー)に粘り込み、3連単は162万馬券になった。「そっくり。似てきたかなと思いますね。あの時も、使うたびに良くなってきたから」と斎藤誠調教師はうなずいた。
ホッカイドウ競馬在籍時から、能力は示していた。ラベンダー賞3着、コスモス賞2着と中央のレースで好走。札幌2歳Sでは、ロジユニヴァースから0秒2差の2着に入り、京都2歳Sでは、アンライバルドなどを退けて先頭でゴールしている。
4角先頭理想 中央に移籍したのは、スプリングSの直前。約3か月ぶりの実戦だったが、調整期間は3週間しかなかった。結果、プラス20キロでの出走。「環境の変化に弱い感じで、手探りの状態だった」とトレーナーは振り返る。16着惨敗。それでも、パートナーの松岡は、着順のイメージとは違う感触を得ていた。「抜群の手応え。勝つかと思ったくらい。巻き返しはありますよ」
環境になじんで、陣営も特徴を把握。調整に熱がこもってきた。「バリバリやっています。体重は変わらないけど、すっきりして張りが出てきた。使う前はボーッとしていたが、(乗り手を)振り落とすくらい元気が出てきた。一変していますね」と斎藤師は力強い。
波乱の再現へ、トレーナーの頭にイメージはできあがっている。「瞬発力勝負になるとダメ。4角先頭で周りに脚を使わせて…。G1の厳しい流れの方がいいかもしれませんね」自ら激流を作り、“3強崩し”を目指す。
◆道営出身馬のクラシック制覇 初Vは89年皐月賞のドクタースパート。北海道で6戦4勝の戦績を収め、88年に美浦の柄崎孝厩舎へトレード。初戦の京成杯3歳Sを快勝し、クラシックロードに乗った。スプリングS(3着)をステップに皐月賞へ進み、3番人気で優勝した。ほかには、牝馬のアローキャリーが、02年桜花賞を制している。
岡田繁幸氏(イグゼキュティヴのオーナーで、モエレエキスパートを所有するビッグレッドファームの総帥)「イグゼキュティヴは、早いうちに心肺機能ができていたので活躍できたが、ほかの馬の成長が追いついてきた。どれくらい走れるか。モエレエキスパートは前走、うまく乗ってくれた。ただ、決め手不足ですね。とはいえ、2頭ともまじめで力は出す。ほかの馬に嫌気が差すような状況になっても、頑張ってくれると思う」
-スポーツ報知-










