
猛時計で2冠へ王手だ。3歳サラブレッド7768頭の頂点を決する「第76回日本ダービー」の追い切りが27日、栗東、美浦両トレセンで行われた。皐月賞を完勝したアンライバルドは3頭併せの真ん中という厳しいポジションできっちり先着。1200メートル77秒7の驚速時計を叩き出し、陣営納得の仕上がりを見せた。なお、枠順は28日確定、29日に前々日発売される。
馬群を割って、世代の頂点へ——。アンライバルドの追い切りには陣営の決意が込められていた。
栗東CWコース。皐月賞馬はアドマイヤダーリン(6歳1000万)を7馬身、ダノンフィーバー(3歳未勝利)を4馬身追走した。3コーナー付近では差が詰まらず、これは追いつかないかと思わせたが、4コーナー手前で猛追。2頭を射程圏へととらえた。
圧巻はそこから。前で並んだ僚馬2頭がサッと左右に分かれて空間をつくる。左トモ(後肢)へのステッキを合図に、アンライバルドは果敢に2頭の間へと飛び込んだ。ハミをグッとかむ。首を懸命に振る。最後の力を振り絞るように前へと出て首差先着。ストップウオッチからはじき出された1200メートルの時計は驚異の77秒7を刻んでいた。
猛烈追いと言われたダービー直前のスペシャルウィーク(98年)が同じコースで78秒8、ディープインパクト(05年)はDWコースで78秒3だった。この数字がいかに破格なものかが分かる。「時計も動きも良かった。皐月賞同様、調教には満足。ハードに攻めた方が競馬当日に落ち着くタイプだから」。このくらいの動きは当然とばかりに、友道師は胸を張った。
僚馬の間を割ったことは作戦上で大いに意味がある。最近の東京芝コースの直線は外が伸びない。先週のオークスでもブエナビスタが外を選択して苦しんだ。強烈なエンジンを搭載するアンライバルドとて、外は回したくない。「東京はイン有利と岩田とも話した。だから真ん中を割る調教をした。どんな位置からでも馬込みを割って、内を突いて…。おそらく前々で競馬をする形になると思う」(同師)。これまで外を差して勝ってきたが、今回は外でなく、馬群から機をうかがう。得意の戦法を覆すことは勇気がいるが、アンライバルドなら対応してくれると、陣営は確信している。
「春の最大目標がダービー。悔いのない仕上げだ。この馬はいつもこちらの想像以上の走りを見せてくれる。父ネオユニヴァース、兄フサイチコンコルドが手にした勲章を、アンライバルドにも獲らせたい」。気の利いた言葉で締めくくった友道師。全幅に信頼を寄せてアンライバルドとともに「ダービートレーナー」の称号を獲りにいく。
-スポーツニッポン-










