
40歳のベテラン蛯名が、ナカヤマフェスタで悲願のダービー制覇に挑む。昨秋の東京スポーツ杯2歳Sを含め、東京コースでは2戦2勝。順調さを欠いた皐月賞は8着に敗れたが、今回は、すべての面で条件が好転する。17回目のダービー参戦。名手は、キャリアのすべてをパートナーに注ぎ込む。マッハヴェロシティの柴田善も、これまで14回騎乗して未勝利。競馬学校の同期生である武藤調教師の管理馬で、夢の“金メダル” を目指す。
騎手ならば、誰もが手にしたい「ダービージョッキー」の栄誉。蛯名にとっては、これが17回目の挑戦となる。
初めての騎乗は、デビュー5年目の91年。シャコーグレイドに騎乗して8着だった。「ダービーってすげえ」という気持ちと、勝ったトウカイテイオーの強さだけが印象に残った。その後は、92、94年の2年を除いて毎年参戦。現役では、武豊(今年21回目)に次ぐ騎乗回数となった。「やっぱり雰囲気が違うからね。毎回、ゾクゾク来るものはあるよ」。1700勝をマークする名手にとっても、ダービーは別格だ。最高着順は、ハイアーゲームに騎乗した04年の3着。ナカヤマフェスタで臨む今回、当時に匹敵する手応えを感じている。
1月の京成杯からぶっつけで臨んだ皐月賞は8着。それでも、悲観はしていない。「1けたの着順でゴールできたことで、望みをつないだと思っている。京成杯のあと、無理に使わなかったのは良かったと思うし、前回よりも調子が上がっているのは確かだからね」。初めてまたがった時に感じた「オッと思う伸び」が戻ってきたという。
東京では2戦2勝。左回りに替わるのは、何よりのプラス材料だ。「走りやすいんだろうね。適度にハミを取るし、手前をスッと替えてくれるので、伸び方が違う。33秒台で上がる脚を持っているだけに、状態さえ良ければ人気馬ともいい競馬ができると思う」。関東に、現役のダービージョッキーはゼロ。流れを変えたいという思いは、誰よりも強い。
-スポーツ報知-










