
ディープインパクトの感激を、もう一度−。31日のダービー・G1(東京・芝2400メートル)に出走するアプレザンレーヴは、“7冠馬”ディープインパクトを育てた池江泰郎調教師(68)=栗東=の秘蔵っ子だ。520キロを超す馬体から繰り出すフットワークは、迫力十分。トライアルの青葉賞を制し、大舞台に駒を進めてきた。2年後の2月いっぱいで定年を迎える同師。執念で「2勝目」を取りに行く。
スケールの大きさは、誰にも負けない。未完成ながら、限りない可能性を感じさせるのが、アプレザンレーヴだ。520キロを超す雄大な馬体。力強く青葉賞を制し、頂上決戦に駒を進めてきた。
「苦労してきた馬だからね。除外があってレースに出られなかったり、毎日杯(3着)で出遅れたり…。でも、今になってみれば、ダービーに間に合うようになっていたのかもしれないね」池江泰郎調教師はしみじみと振り返る。入厩時は、560キロもあった巨漢。若駒特有のソエ(骨膜炎)に苦しめられ、クラシックロードから外れそうになったこともあった。
それでも、あきらめなかった。05年のディープインパクトの感動を再び−。再来年の2月で引退する池江師にとって、残されたチャンスは、あと2回しかない。「生まれた時から大きくて、ひとつ年上じゃないかというような体をしていた」という素質馬を、埋もれさせるわけにはいかなかった。担当の森田助手は振り返る。「入厩した時から、池江先生(調教師)はダービー、ダービーって言ってました」それだけ、期待が大きかったのだ。
前走の青葉賞は、トレーナーの執念が乗り移ったような走りだった。直線で、一度はトップカミングに前に出られながら、差し返して勝利。重賞初制覇を果たすとともに、ダービー出走権をつかんだ。「正攻法の競馬ができることを証明してくれたのは大きい。脂肪が抜けて素軽くなってきた」と確かな良化に目を細める。
青葉賞勝ち馬のダービー制覇はない。それでも、過去10年で3頭が2着。この中には、父シンボリクリスエスの名がある。ジンクスが覆される日は遠くない。「最近は、カイバ食いが良くなっているし、使った後の体の戻りもいい。落ち着きも出ている」と森田助手。名伯楽の見立てに、父を上回る上昇度が加われば、頂点に立って不思議はない。
-スポーツ報知-










