
「日本ダービー・G1」(31日、東京)
ダービー馬はダービー馬から。01年の覇者ジャングルポケットのDNAを受け継いだシェーンヴァルトが、父が歩んだVロードを突っ走る。荒々しく、負けん気の強い気性はまさに父譲り。スタミナ勝負も望むところだ。ダービー初出場となる若武者・北村友一騎手(22)=栗東・フリー=を背に、大舞台で雄たけびをあげる。98年スペシャルウィーク、03年ネオユニヴァース、04年キングカメハメハの計7頭の産駒が、史上6組目の父子制覇を狙う。
皐月賞の返し馬のとき、興奮状態となったシェーンヴァルトは、天高く頭をガーッと上げるしぐさを見せた。その荒々しい姿は、まさに父ジャングルポケットの生き写し。熱い走りでファンを熱狂させた父のDNAを見事に受け継いでいる。
その皐月賞では直線、1度は2番手に上がって見せ場をつくったが、ラスト1Fで失速。4着に敗れた。北村友は「返し馬で余分な力を使っている感じ。それに外枠が当たって前に壁をつくれなかった分、ためが利かなかった」と振り返る。失速の原因は道中の“力み”。そこさえクリアできれば大仕事も決して夢ではない。「一線級とやっても、一瞬の切れは見劣らないことが分かった。ピタッと折り合えばもっと切れる」と前を向く。
距離が2F延びる東京芝二千四百メートルでは、激しい気性をいかにコントロールするかが課題となるが、岡田師はあえて長所を伸ばすことを選択した。「やんちゃであっても、競馬に行ってあの気性がマイナスにはならない。無理に押さえ込まないで、癖のひとつと思って接している。もっと前面に出していいぐらいだよ」。この考えには主戦も理解を示す。「元気がいいのと、イレ込むのとは別物。この馬の前向きさは長所。バランスを良くしていきたい」。この中間は、前に馬を置く形で折り合いを付ける調教を再三繰り返してきた。府中の長い直線で、自慢の末脚を一気に吐き出すつもりだ。
北村友はダービー初挑戦。先週の新潟競馬では5勝、2着4回と大暴れした、その勢いを駆って夢の舞台へと挑む。自身が初めて見た日本ダービーこそが、ジャングルポケットが制した01年。「ウイニングランを終えたときの荒々しい姿が、素人の僕にはすごく格好良く見えた」。あれから8年。その息子シェーンヴァルトとともに、あこがれのシーンを思い描く。「折り合いさえ付けば、あの長い直線は有利。状態も上向いてきたので頑張ります」。失うものは何もない。若きコンビが一心不乱にVロードを突き進む。
-デイリースポーツ-










