
東京G1・5連戦のフィナーレを飾る「第59回安田記念」の出走馬が4日、決まった。“香港の刺客”サイトウィナーに不気味なムードが漂っている。前走でアジアマイルチャレンジ第3戦のチャンピオンズマイルを制覇。同第4戦の安田記念を勝てば100万ドルのボーナス獲得とあって、勝負気配は抜群だ。高速決着には一抹の不安を残すが、週末は雲行きが微妙。雨を味方に急浮上して不思議はない。
引き締まった馬体が、確かな力を感じさせる。東京競馬場に滞在中のサイトウィナーはこの日朝、僚馬アルマダとともに馬場入り。角馬場で調整した後、ダートコースを1周3/4、軽めのキャンターで駆けた。
初めて東京競馬場の馬場に入った前日に続いて、サイズ師はアルマダをリン攻馬手に任せ、自らはサイトウィナーにまたがった。アルマダは2度目の来日ということもあろうが、付きっきりでの指導には並々ならぬ勝負気配が漂う。師は「きのうは少し行きたがったり、物見をしたりしたが、2日目になって落ち着いていた。食欲もあり、水もよく飲んでいる」と環境への適応に満足げ。注目される5日の最終追い切りに先駆け、初めて装鞍所、パドックのスクーリングも行った。
実績と呼べる実績は前走だけ。しかし、その価値は大きい。アジアマイルチャレンジ第3戦のチャンピオンズマイルで、単勝65・1倍の最低人気ながら2番手から押し切り、重賞初勝利が国際G1となった。師は同馬の特徴を「ファイトのある馬で、スピードにもついていける。前走も速い逃げ馬にしっかりついていけた」と説明。「前走はピークといえる状態で勝った。それをもう一度望むのは容易ではないが、いい状態を保っている」と手応えを示した。
日本特有の時計勝負への適性は未知数。師は「あまり硬い馬場は好きじゃない。もう少し軟らかい方がいいというのが正直なところ」と話したが、週末は雨の可能性も。天も味方するかもしれない。
アジアマイルチャレンジ最終戦でもある安田記念を勝てば、シリーズ2勝で100万ドル(約9600万円)のボーナスが支給される。師は「ボーナスがあろうとなかろうと、勝てるレースは勝ちたい」と特別なモチベーションを否定したが、裏を返せば“勝てるレース”と踏んでの来日ということ。サイトウィナーの現地での漢字表記は「勝眼光」。笑顔まじりの師の目が一瞬、キラリと輝いた。
▽アジアマイルチャレンジ 05年にチャンピオンズマイル(香港)と安田記念の提携によりスタート。06年からフューチュリティS(豪)とドバイデューティーフリー(UAE)を加え、計4レースで構成されるシリーズ。シリーズレースを2勝した馬に100万ドル、3勝した馬には200万ドルのボーナスが交付される。06年には香港のブリッシュラックがチャンピオンズマイルと安田記念を制し、ボーナスを獲得した。
-スポーツニッポン-












