
「安田記念・G1」(7日、東京)
15回目の挑戦で初めて“ダービージョッキー”の称号を手に入れた横山典。今週、コンビを組むのは老雄カンパニーだ。昨年のこのレースは、目の外傷のため出走回避。秋もG1馬の栄誉にはあと一歩のところで届かなかった。8歳馬だけに残るチャンスは数回。ダービージョッキーが相棒のために、こん身の騎乗を約束する。5日に枠順が確定、馬券は6日から発売が開始される。
ダービージョッキーとして迎える、初めてのG1。「先週は先週、今週は今週だから」。あこがれのレースを制しても、横山典の競馬に対するスタンスは、以前と何ら変わりはない。
そのダービー制覇は、いまだに実感がわかないという。「競馬は何があるかわからないから1%は可能性があると思っていたけど、99%ダメだと思っていた。馬の状態が良くないと感じていたからね。勝つときはすべてがうまくいく。雨も枠順(1枠1番)も味方したよ」と幸運に感謝する。
「馬を大事にしていれば、いざというときに馬が助けてくれる」。横山典が普段よく口にする言葉だ。ダービーでのロジユニヴァースがそうだったように、安田記念でコンビを組むカンパニーも、その関係を大事に育ててきた。
追い込み一辺倒だった背中を譲り受けたのが昨年の中山記念。2番手から抜け出す正攻法で、鮮やかな勝利を飾った。続くマイラーズCでも勝利を収めたころには、安田記念制覇を強く意識した。しかし好事魔多し-。目の外傷のためカンパニーは、その舞台に立つことさえできなかった。
「あのときはガッカリしたな…。でも、そのあとよく立ち直ってくれたよ」。昨秋は勝ち星こそなかったものの、11番人気で臨んだ秋の天皇賞では、メンバー最速の上がり3F33秒5の末脚を駆使し、ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイの“3強”に続く4着。勝ったウオッカからの着差はわずか首差だった。「人気はなかったけど周りには“勝てる”と言っていたし、自信があった。でも今回は…。この前(ヴィクトリアM)のウオッカの強さを見せられるとな」と控えめな言葉が口をつく。
しかし、もちろん望みを捨てたわけではない。「前走でもオレがうまく乗っていれば勝てた。これまでもずっと本気で走ってなかったんだろうな。だから消耗していなくて馬が若いし、オレがちゃんと走らせれば今回も勝つチャンスはある。この馬にとって残されたチャンスはわずか。なんとかタイトルを獲らせてやりたいよ」。昨春の悔しさを晴らす舞台で、ダービージョッキーの手綱さばきがさえ渡る。
-デイリースポーツ-












