
偉大な父のためにも、もう負けるわけにはいかない。春のグランプリ「第50回宝塚記念」は、ウオッカの回避で昨年のダービー馬ディープスカイの1強ムード。3度目のG1タイトルを手にして秋の海外遠征へと夢をつなぐ。また、急死した父アグネスタキオンへささげる、弔い合戦の一戦となる。
昨年のNHKマイルC、日本ダービーを制した実績馬とあって、ディープスカイが戦う舞台は自然と限られてくる。常にトップクラスが相手。しかも胸を貸す立場だ。気がつけば昨秋の神戸新聞杯を勝って以来、3、2、2、2着と白星がない。堂本助手も「いつもあともうちょっとなんだけどね。そろそろ何とかしたい」と言葉に力を込めた。
前走・安田記念はゴール前で完全に抜け出して勝利目前というところで、ウオッカの強襲に屈した。その2頭がこのグランプリで再び激突するはずだった。コースが東京から阪神に替わり、さらに距離が延びてどうなのか。ウオッカの回避で、その答えが出ることはなくなった。多くのファンと同様に堂本助手も再戦を熱望していた。「正直、ウオッカには出てほしかったけど、それは仕方のないことだから」
前走の借りを直接、返すことはできなくなった。とはいえ、目標を見失ってしまったわけではない。照準はきっちりと週末に合わせてある。まず重視すべきなのはベストの状態で当日を迎えること。調整はすべてが順調と言っていい。「前走後もガタッと来なかった。動きが素軽くなっているし、心配な点は特にないね。今回は中2週になるけど、ダービーを勝ったときも中2週。楽をさせると気持ちが抜けちゃうので、間が詰まるのはむしろいいかなと思っている」
この一戦は秋にもつながっている。このレースの内容次第では凱旋門賞(10月4日、ロンシャン芝2400メートル)参戦の可能性が膨らんでくるのだ。「こんな馬に出合えることなんてそうそうないし、そういうチャンスがあればチャレンジしたい」。今度こそ、すっきり勝って世界への扉をこじ開ける構えだ。
-スポーツニッポン-












